『不況は人災です!』資料(第2章)

第2章 二つの経済成長って?

p.52
★1 総務省のサイトの次のページを参照。p.53

★2 日本のものは、「経済産業研究所」サイト > データ・調査 > JIPデータベース2009
「4. 成長会計」のファイル
の「各生産要素の寄与(付加価値)」ワークシートの13行J列からAK列まで。
ただし、パーセント表記にするために、100倍します。

データは、「寄与度」という表現になっていますが、単純に、TFPの成長率そのもののことです。
付加価値の成長率のうち、労働成長率に労働分配率をかけたのが、「労働の寄与度」で、資本(機械や工場等)成長率に資本分配率をかけたのが「資本の寄与度」で、この両者を除いた残差が、TFPの「寄与度」になりますが、これはTFPの成長率のことにほかなりません。

アメリカのものは、上記「JIPデータベース2009」のページの下の方からリンクされている、”EU KLEMS Growth and Productivity Accounts: March 2008 Release”サイトより、”United States (NAICS based)”の、”Basic files”、を使います(「SIC」のデータも基本的に変わらない)。
このうちの、“VAConTFP”ワークシートの、2行K列からAL列まで。この両者をグラフウィザードで通常の折れ線グラフにしたら、次のようになりました。


p.54-55
★3 研究開発費は科学技術政策研究所 > 研究成果 > 調査研究一覧> 調査資料No.170「科学技術指標2009」にある参考資料
表1-1-1、(C)実質額を参照。
企業設備投資は、内閣府 > 統計情報調査結果 > 国民経済計算(SNA)関連統計 > 四半期別GDP速報(左メニュー) > 時系列表(CSV形式) 実質暦年前年比増加率データ
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/qe101-2/ritu-jcy1012.csvを「名前を付けて保存」する。エクセルで開いて、このG9からG35に1971年から2006年までの企業設備の前年比増加率の列があります。

【図2-2】


★4 エクセルの「分析ツール」の「回帰分析」で、実質研究開発伸び率を実質設備投資成長率で回帰してみて下さい。
重決定係数(R2)が0.591…ですから、そんなに相関は高くはありません。
実際、「観測値グラフの作成」をチェックして散布図をかくと、ややちらばりがあるように見えます。


ただし、「P-値」が切片(=2.86…)については、

設備投資成長率の係数(0.318…)については

と共に非常に小さくなっています。
これは、本当はゼロなのに偶然このような値に観測された確率を表していて、それがこんなに小さいということは、この関係自体は間違いなくあることを示しています。

さらに、「残差」をチェックしておくと、実際の値とこの回帰による予測値との残差が出てくるので、これを使って「ダービン・ワトソン比」が求められます。
これは、「誤差の系列相関」と言われる問題がないかどうか調べるために使われるもので、エクセルでは、SUMXMY2(残差列の二番目から最後まで、残差列の最初から最後から二番目まで)をSUMSQ(残差全体)で割ることで求められます。
今の場合、これは1.895…になりました。これが2に近ければ、「誤差の系列相関」がなく、OKということになります。

今の場合、サンプル数26、独立変数の数1のときに、「系列相関がない」という仮説が棄却されないための1%点は、1.222なので、ダービン・ワトソン比はこれより大きく、系列相関がないとみなしてよいことになります。


★5 実質IT投資は、上述の「産業経済研究所 JIPデータベース2009」の「2.資本」の「2) IT投資データ」より、「2-2-2」ワークシートの110行C列からAM列。
このデータを使い、「=LN(今期の値/前期の値)*100」で成長率を出しました。
変化率はこの表現を使った方が、「=(今期の値-前期の値)/今期の値」などとするより便利です。
なぜなら、二変数の積の変化率が各々の変化率の和になる公式が、前者の表現では交絡項なくあてはまるのに対して、後者の表現では交絡項が出るため近似になるからです。
これを実質設備投資成長率と合わせてグラフにすると次のようになります。


★6 上記★4と同様に回帰分析すると、重決定係数は0.329…で若干低めですが、P-値は小数点以下6桁とか4桁とかというほとんどゼロに近い値になりました。
また、ダービン・ワトソン比は1.448…となりましたが、これは、1%点でも5%点でも楽々クリアしており、誤差の系列相関はないと言えました。


p.57
★7 福祉大国であるスウェーデンの2007年の「保健衛生・社会事業」従事者は、65歳以上人口一人当たりにすると、0.46人いる計算になります(鄯)。
2030年の日本で、65歳以上人口3667万人(鄱)に対してこれと同じ割合の人手を確保しようとすると、1687.3万人が必要です。
2030年の推計労働力人口6180万人(鄴)からこれを引くと、4492.7万人が、「保健衛生・社会事業」以外に従事できる計算になります。

ところで、2007年現在の日本の就業者数は6412万人、ここから「保健衛生・社会事業」従事者579万人を除くと、5833万人になります(鄽)。
これを2007年の日本の総人口1億2777万人(酈)で割ると、一人当たりに必要な、「保健衛生・社会事業」以外の従事者数は0.457人となります。
ここに、2030年の推計人口1億1522万人(酛)をかけると、5260.1万人となります。
ここから、人口一人あたりの、「保健衛生・社会事業」以外の財やサービスを減らさないために必要な労働生産性の上昇率を求めると、2007年から2030年までの23年間で、5260.1万を4492.7万で割った1.17倍。
これを1年あたりに直すと、0.7%弱の上昇になります。

(鄯)総務省統計局 > 統計データ > 世界の統計
バックナンバー(下部)にある2009年一括ダウンロード(PDF)して下さい。

第2章「2-7 男女,年齢5歳階級別人口」からスウェーデンの65歳以上人口、第12章「12-3 産業別就業者数」からスウェーデンの「保険衛生・社会事業」の従事者がわかります。

(鄱)国立社会保障・人口問題研究所サイト > 人口統計資料集 > 2009年度版 > Ⅱ.年齢別人口
表2-9「年齢(4区分)別人口の推移と将来推計:1920〜2055年」

の26行F列G列を合計して2030年の65歳以上を求める。

(鄴)同じく「表8―5 性,年齢(5歳階級)別労働力人口の将来推計:2006〜30年」
の5行E列より。

(鄽)鄯)の同じデータから日本の値も分かります。

(酈)内閣府サイト > 年次報告書等 > 経済財政白書 > 平成21年版(HTML)> 長期経済統計目次(最下部)
> 人口・雇用

(酛)鄱)と同じ。


★8 実質GDPは、内閣府 > 統計情報調査結果 > 国民経済計算(SNA)関連統計 > 四半期別GDP速報(左メニュー) > 公表履歴 > 平成19年(2007年) > 平成6年1-3月期〜平成19年10-12月期 2次速報値の実額の「実質暦年」を一旦保存してエクセルで開いたときのB8からBの21を利用。

労働投入は、内閣府サイト > 年次報告書等 > 経済財政白書 > 平成21年版(HTML)> 長期経済統計目次(最下部)
人口・雇用より、「就業者数」と「総実労働時間」をかけて計算しました。